1. 【事例つき】恋は盲目?あなたの生活を脅かすリベンジポルノから身を守るために

ケーススタディ【vol.19】

2016.02.02

【事例つき】恋は盲目?あなたの生活を脅かすリベンジポルノから身を守るために

  • Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「ねぇ、あなたの裸の画像がTwitterにアップされているわよ」

友人から届いたメッセージ。
Twitterを開くと、そこには、わたしがいかに淫乱な女であるかを書きつらねた汚い言葉と、卑猥な画像がアップされていた。

全身が震えだして言葉がでない。

(((元カレの仕業だ……)))

 

恋のもつれから生まれる「リベンジポルノ」

2014年11月、参議院本会議で全会一致により可決・成立し、8日後に施行された「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」、通称「リベンジポルノ対策法」(*1)をご存知でしょうか?

リベンジポルノとは、第三者に見られることを前提に撮影されていない、性的なわいせつ画像や動画などを、外部へ故意に漏らすことを指します。主な目的が、別れた元恋人などによる復讐であることから、「リベンジポルノ」と名づけられています。

*1. 参考 – 警察庁:「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」が施行されました。
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/shiseigazouboushi/

 

純愛から一夜限りの関係まで、恋愛のスタイルはさまざま。

あんなに愛し合った相手なのに、別れの申し出や、浮気発覚。遊びのつもりだったのに相手が本気になるなど、ひとたび恋愛の泥沼に陥ると、そこには憎悪の渦が巻き起こります。

スマートフォンやSNSが普及している現代において、リベンジポルノは、あなたにとって「すぐそばにある恐怖」のひとつと言えるでしょう。

なぜなら、「怒りや悲しみによって自分自身が【加害者】になってしまう」「不用意から自分自身が【被害者】になってしまう」と、一寸先にあなた自身が加害者・被害者どちらにもなってしまう可能性が潜んでいます。

本記事ではそんな可能性を少しでも減らすために、リベンジポルノの事例を交えながら対策を考えていきます。

 

別れた腹いせに、元恋人の裸の画像をTwitterに投稿

施行からわずか1年の「リベンジポルノ対策法」ですが、すでに何人もの逮捕者が出ています。

 

別れた彼女が、メッセージの返事をくれない!

2015年春、元交際相手の女性の裸の写真をTwitterに投稿。鳥取県の男性(39歳)が逮捕されました。理由については、「別れた後、彼女がLINEの返事をしなくなり、恨みが募った」と報じられています。

失恋の傷を癒すには、長い時間が必要。うまく失恋の傷を消化できずに、招いてしまった事例です。

参考URL:http://www.sankei.com/affairs/news/150311/afr1503110040-n1.html

 

よりを戻したかったが、相手にされない!

同じような事件として、2015年夏、別れた直後に元交際相手の女性の裸の写真をTwitterに投稿。大分県の男性(30歳)が逮捕される事件がありました。原因は、別れ話のもつれ。「よりを戻しかかったが、相手にされなかった」とのこと。

そもそも写真を撮られることが問題なので、いくら「付き合っているから」「感情が高ぶっていたから」といっても、絶対に性的な写真や動画を撮られないようにしましょう。

参考URL:http://www.sankei.com/west/news/150827/wst1508270058-n1.html

 

興味本位で、画像をシェアしてしまった!

公開はTwitterだけに限りません。2015年夏、交流サイトで知り合った女性の裸の画像をLINEのグループ上に投稿し、リベンジポルノ対策法に基づき石川県の男性(26歳)が逮捕。さらに、その画像を別のLINEグループへ拡散したとして、神奈川県の男性(27歳)も逮捕されました。

おもしろ半分で押したクリックには、あなたを犯罪者にさせてしまうリスクが潜んでいるのです。

参考URL:http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/414186/

 

付き合っていなくても、思わぬ落とし穴で被害者になることも

写真を撮られるのは、何も恋人や夫婦ばかりとは限りません。他にもさまざまな、リベンジポルノが出ています。

 

モデルとしてスカウト。そこには別の企みが!

2015年春、原宿でモデルになって欲しいとスカウトと女性をスカウトし、着替え中の様子を盗撮。それを有料動画サイトで配信した疑いで、芸能プロダクションの社員らが逮捕。のちに不起訴処分となりましたが、交際以外のリベンジポルノ対策法適応事件として話題になりました。

そもそもモデルの誘い自体が嘘だったというこの事件。原宿でスカウトされ、思わず舞い上がってしまいそうな状況ですが、そこには悪い輩もいる、ということを肝に銘じましょう。

参考URL:http://www.asahi.com/articles/DA3S11756009.html

 

勝手に写真を使われ、なりすましで出会い系サイトに登録!

2015年夏、知人女性になりすまして、勝手に出会い系サイトに登録した神奈川県の男性(39歳)が逮捕されました。出会い系サイトには、顔写真の登録、「刺激が欲しい」などのプロフィール情報を掲載。実際にサイト内で複数の男性とやりとりをおこない、女性の住所などの個人情報を漏らした疑いです。事件は、その住所を得たユーザーが女性宅を訪れたことで発覚しました。

これはわいせつ画像ではなかったので、リベンジポルノ対策法ではなく、名誉毀損の容疑に。「女性に対して何度も会いたいと迫ったが、ストーカー扱いをされたので、いやがらせをした」というのが動機でした。

顔写真は、FacebookやInstagramから容易に手に入ります。これは対策がむずかしいですが、怪しい者に言い寄られた場合できる限りの証拠を残し、早めに警察に相談しましょう。

参考:http://www.sankei.com/affairs/news/150612/afr1506120022-n1.html

 

幸せからどん底へ突き落とすリベンジ

最後に、実際の事例ではなく、ありえそうなパターンをフィクションで紹介します。

 

元カレ(元カノ)に新しい恋人ができたタイミングで、昔の写真をタグ付けでシェア!

「恋人に別れを切り出す際、実は次の人がいた」なんてのはよくあること。うまく隠せたつもりでも、納得がいかない別れの申し出に、フラれた方は疑心暗鬼。でも、何も証拠がないから我慢するしかなかった……。数週間後、友達からの情報で、元恋人に新しいパートナーがいることが発覚。

怒りに火がついた元恋人は、付き合っていたころのプライベート写真を、Facebookでタグ付けをし、シェア。元恋人のウォールには、突然昔の写真が表示され、ひどい別れ方をしたことを友達全員に暴露されました。新しい恋人と付き合い始めた最高のタイミングでどん底へ突き落とす、というリベンジです。

 

浮気相手とのLINEのやりとり画面を、Twitterにアップ!

夫婦関係が冷え込み、刺激が欲しくて、つい手を出してしまった禁断の恋。禁じられた恋だからこそ、ふたりだけの世界にこもり、燃え上がるものです。そんな2人にとって、LINEは、会えないときにお互いをつなぐ大切なツール。「大好きだよ」「妻(夫)はひどいやつなんだ」「あいつとはもうすぐ離婚するつもりだ」……。そんな会話を重ね、背徳感を高め合います。

しかし、刺激が欲しくての出来心だったため、いつしか煩わしくなり、「あの頃のように愛せなくなってしまった。僕(私)が悪いんだ。ごめんね」と、別れを告げることに。

数日後、あなたが送ったLINEのやりとり画面が、Twitterで暴露されていました。その後、あなたの家庭に亀裂が入ったことは言うまでもありません……。

 

リベンジポルノをしない・されないために


リベンジポルノ対策法ができたと言っても、加害者の刑はそんなに重いものではありません。最高でも、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」なので、初犯で反省する姿勢を示していれば収監さずに執行猶予付きで終わる場合もあります。しかし被害者は、心の傷は癒えないうえに、一度インターネット上に出回った画像が消えることはほぼありません。これを “デジタルタトゥー” と呼び、被害者は消せない過去として背負っていくことになります。加害者の処罰と被害者の痛手は、釣り合っていないのが現状です。

リベンジポルノを完全に防ぐのは難しいですが、さいごに、リベンジポルノから自分を守る3つの術を紹介します。

1.心許せる仲だとしても、むやみに無防備な姿で写真を撮られない

2.日頃から「恋人の裸の写真を撮るなんて無責任。もし流失したら、どうするの?」と、事前に釘を刺しておく

3.撮られてしまった場合は、即座に消去を要求する
スマートフォンの設定によっては、自動的にクラウド保存される場合があり、悪意がなくても後々流出の危険性があります)

そもそも、浮ついた恋ではなく、誠実な恋愛をすることが大切といえるのではないでしょうか。そうであれば、仮に別れが訪れ、未練たらたらになったとしても、「復讐に燃える!」なんてことにつながることはないでしょう。

いい恋をする。
これこそが、もっとも大切な対策です。

k_kitano北野 啓太郎(きたの・けいたろう) フリーライター
1980年代のパソコン黎明期よりコンピュータを愛し、90年代後半のインターネット普及とともにその想いは加速。音楽業界でウェブマガジン編集長を経歴し、現在フリーランスとしてライター、映像編集など多業界で活動中。コンピュータのウィルス感染に加え、実生活では空き巣にやられた経験も持つ。NO SECURITY, NO LIFE.
この記事をシェアする
  • Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事 | こんな記事もオススメです。