またあの広告が出てくる?3つの最新Webアドテクを徹底解説
何気なく通販サイトを利用していたら、他のサイトでもついさっきカートに入れた商品の広告が表示されたり、転職サイトを見ていたら他のサイトでも転職の広告が表示されたといった経験、誰しもきっと一度はあるのではないでしょうか?
昨今のWeb広告配信技術(Webアドテク)は「枠から人へ」という考え方にシフトしていて、「このメディアだから、この広告」よりも「この人だから、この広告」という基準で広告の表示がなされる機会が増えました。
自分にあった広告が表示されるという観点では消費者にもメリットがあるのですが、プライバシーは大丈夫なのかと心配になる方も多いはず。今回は、最新Webアドテクの中でも代表的な3つの仕組みをご紹介します。
一度訪問したサイトを再広告する「リターゲティング広告」
リターゲティング広告とは、特定のサイトに訪問したことのあるユーザーに対して、そのサイトの広告を表示する仕組みです。Webブラウザに情報を保存するクッキーという仕組みで訪問情報を記録して広告配信に利用します。
広告主サイトに一度でも訪問したことのあるユーザーは、そのサイトや商材に興味を持っている可能性が高いため、成約に結びつく可能性が高いと言われています。
本来、クッキーは異なるドメインのサイト間で共有することができません。しかし、広告配信会社が複数の契約先Webサイトで広告配信のために共有利用するクッキー(サードパーティクッキー)を発行することで、広告主サイト以外のWebサイトでも広告主サイトの情報を利用したリターゲティング広告の配信が行われます。
通販サイト内での行動が他のWebサイト内にある広告に反映されるのを不安に感じるかもしれませんが、一般的にWebサイトのコンテンツを表示するサーバーと広告を配信する会社のサーバー(アドサーバー)は独立しているため、Webサイトの運営者からは、広告内に表示された具体的な商品などの情報を見ることはできないようになっています。
検索キーワードに連動して表示する「リスティング広告」
検索サイト内でキーワード検索を行うと、それに関連する広告が表示される広告を「リスティング広告」と呼びます。検索キーワードはユーザーが自らの意志で検索しているため、その人は検索キーワードへの興味関心があるということが推測できます。
「リスティング広告」そのものは、検索サイトに表示されるものです。しかしあるユーザーが、どんな検索をしているのか? という情報は、そのユーザーの興味関心を推定するための有力な情報源となるため、他のWebサイトで広告を配信する際の条件付けに利用される場合があるのです。
会員データやアンケートを活用する「属性ターゲティング広告」
会員制のウェブサイトでは、会員登録時に自身の性別・年齢・結婚・興味関心などの情報を登録し、そこからアンケートメールが送られることが多いものです。
これらの情報はサイトが特定のユーザー群に対して、効果的な広告配信をするために利用されます。会員制のウェブサイトに訪問している際には会員情報クッキーと広告配信用クッキーが同時に発行され、互いの情報が紐付け可能となっているのです。
まだ会員登録をしていないユーザーについても、既に会員登録済みのユーザーから分析した検索キーワードや閲覧履歴などの特徴から、サイトでは性別や年齢などを推定しています。例えばGoogleでは「Google広告の管理」というページから、自分の性別・年齢・興味関心がどのように推定されているかを確認することができます。
試しに筆者の情報を表示してみましたが、かなり的を射た推定結果になっていました。
サードパーティクッキーのオプトアウト(機能の停止)方法
「人から枠へ」を指向した最新のWebアドテクの特徴は、特定ユーザーの行動を広告配信用のサードパーティクッキーで追跡して広告の配信に利用するという特徴があります。
追跡用のサードパーティクッキーは下記の方法で機能を停止(オプトアウト)することができます。
PC用ウェブブラウザー(Chrome)の場合
PC用ウェブブラウザーの設定画面でサードパーティクッキーの削除と拒否を設定することが可能です。今回はChromeでの設定方法を紹介しますが、他のブラウザーにも基本的には同様の設定項目が存在します。
2. [設定] をクリック
3. [詳細設定を表示] をクリック
4. [プライバシー] セクションで、[コンテンツの設定] をクリック
5. [すべての Cookie とサイト データ] をクリックして [Cookie とサイト データ] の下部にある [すべて削除] をクリック
6. [Cookie] セクションで、[サードパーティの Cookie とサイト データをブロックする] チェックボックスをオンにする
iPhoneの場合
iPhoneでは各アプリのブラウザから共通的に利用される「Advertising Identifier」がサードパーティクッキーの役割をします。
2. [プライバシー] をタップ
3. [広告] をタップ
4. [Advertising Identifierをリセット] をタップ
5. [追跡型広告を制限] をオンにする
Andoridの場合
Andoridも、iPhoneと同様の広告IDが存在します。
2. [広告] をタップ
3. [広告IDをリセット] をタップ
4. [インタレストベース広告をオプトアプト] をオンにする
さいごに
いかがでしたか?
昨今のWeb広告配信技術(アドテク)は個人を識別して最適な広告を配信する指向になっていて、ウェブ閲覧履歴や属性推定というプライバシーに近い情報が、他サイトの広告表示にも利用されるようになっています。
このような広告配信技術の現状にあわせて、個人情報保護法の改正も予定されています。
これらの技術は、あくまで広告配信をユーザーにとって最適化するためのもので、具体的な姓名や住所などのプライバシーへの配慮がなされています。しかしWeb上の活動を追跡されたくない人もいるきっといるはず。
そのような場合にはオプトアウトを検討するなど、正しい知識をもってWebアドテクとの付き合い方を考えてみましょう。
システムインテグレーター勤務の傍ら、個人ブログ「太陽がまぶしかったから」を運営。情報システムの発展によって変化していく人の心や共同体のありかたに興味。音声チャットを用いて題材書籍を掘り下げる「Skype読書会」を主宰。共著書に「レールの外ってこんな景色」(WOODY)。仕事も恋もFA宣言中。
Twitter:bulldra