年賀状だからと気が緩んでいませんか?今年こそ情報漏えい対策を!
年賀状には個人情報が満載!
ビジネス用の年賀状ではなく、家庭用の年賀状の多くには、名前、住所、家族構成、顔写真に加え、「何歳になりました」「就職しました」「子どもが生まれました」などの近況報告も添えているため、年賀状一枚であなたの家庭が丸わかり状態となっています。
2000年初頭、写真プリントが流行し始めた頃はまだ目新しさもあり、お互いの家族写真をのどかに楽しんでいました。しかし近年、オレオレ詐欺や悪質商法など、家庭内の状況を把握した上での犯罪が目立つようになってきています。そうした被害から家族を守るためにも、そろそろ年賀状を見直す時期に来ているのではないでしょうか。
今回はこの年賀状にフォーカスを当て、情報漏えい対策を考えます。
年賀状が誤配送されるリスク
まず、どのタイミングで他人に情報漏えいするのかについて、お伝えします。
ひとつは、年賀状の誤配送があります。郵便配達は人の手で行う仕事ですので、ミスを無くすことは現状不可能でしょう。しかも、ストーカーや不法侵入対策のため、玄関やポストに名前を掲げない家庭が増えています。差出人が、届け先の番地や部屋番号を書き間違えれば、誤配送の可能性はさらに高まります。また、賃貸物件の場合は、前の住人宛の郵便が届くこともありますね。
もし、あなたの年賀状が誤配送で他人の手に渡ったら……。ネットで名前を検索されたり、SNSを調べられたりすれば、あなたの行動、仕事、趣味なども、把握される恐れがあるのです。
パソコンのセキュリティが甘く、住所録が漏えいするリスク
あなたのパソコン、セキュリティ対策は万全ですか?
年賀状ソフトをご利用の方は、ソフトの起動にパスワードをかけることができますが、住所録をExcelで管理していたり、Wordの差し込み印刷機能を使って宛名印刷をしたりしている方も多いでしょう。その場合、操作ミスやウイルス感染などにより、パソコン内に保存しているファイルが漏れる危険性があります。
もし、住所録が他人の手に渡ったら……。あなたの人間関係、特に血縁関係がバレてしまいます。親子関係、親戚関係は、オレオレ詐欺などの犯罪者にとっては、特に欲している名簿ではないでしょうか。
年賀状の情報漏えい対策
年賀状の情報漏えいは、これ以外にも様々な場面が考えらます。盗まれたり、知らないあいだに写真やコピーを撮られたり。このあたりはきりがないので、次は情報漏えいそのものを防ぐ、6つの対策をお伝えします。
対策 1:個人情報を書きすぎない
年賀状は、履歴書ではありません。
携帯電話番号は必要ですか?
家族構成は必要ですか?
子どもの年齢は必要ですか?
はがき一枚に個人情報を詰め込む必要はあるでしょうか。
シンプルなデザインや構成で、想いを込めてみませんか。
対策 2:自宅のポストに鍵をつける
ストーカー目的で、年賀状を盗難する事件が起きています。あなたのお宅のポストから、親族や友人から届いた年賀状が盗まれる危険があるのです。盗難を防止するためにも、自宅のポストに鍵がない方は、鍵を取り付けるようにしましょう。
対策 3:ファイルは一元管理が原則
パソコンで住所録ファイルを保存している場合、家族間でメールの添付でファイルをやりとりすることがあるでしょう。妻が夫に「ファイルを送って」とお願いする、子が親に「住所録を更新したよ」と送る、など。
このように複数人でファイルを共有する際の原則は一元管理です。あちらこちらにファイルが点在すると、データファイルの保護が難しくなります。Dropbox、OneDrive、iCloudなどのクラウドサービスを利用したり、USBメモリで管理したりするなど、ファイルは一か所で管理するようにしましょう。
対策 4:ファイルにはパスワードを
住所録ファイルを共有する場合も、そうでない場合も、個人情報を扱うファイルには暗証番号を設定しましょう。Excel、Wordのファイルには、開く際にパスワードを設定することができます。設定方法の手順は、Microsoft Officeのヘルプをご確認ください。
対策 5:グッズ「はがき目隠しラベル」
物理的にはがきを盗み読みされないようにする方法があります。文具メーカー各社から「はがき目隠しラベル」が発売されていて、これを使えば中身が透けない隠蔽はがきを作ることができるのです。
※参考:ひとみ印刷所「情報保護シール」
http://www.p-hitomi.jp/seal/
対策 6:封書で送る
年賀状は、封書でも送れるのをご存知ですか。
郵便局から年賀用の82円切手が発行されています(お年玉付きは85円)。封筒にこの切手を貼り、切手の下に赤字で「年賀」と記入すれば、年賀状と同じようにお正月に届けることができます。
また、82円切手で郵送できる封書のサイズは「縦23.5cm × 横12cm × 厚み1cm」までの定型内で、重さは「25g」以内です。
年賀状をはがきではなく、手紙にしたためるのも良いですね。
もし、あなたが他人の年賀状を受け取ってしまったら
今回の記事では、年賀状の情報漏えい防止についてお伝えしましたが、逆にあなたが他人の年賀状を受け取ってしまう可能性もあります。最後は、誤配送されたときにすべきことをご案内します。
もし、あなたのお宅に他人の年賀状が届いてしまったら……。
その場合、年賀状の表面に誤配達である旨を記載した付せんを貼り郵便ポストに投函するか、直接郵便局の窓口へ持ち込みましょう。これは、郵便法第42条「誤配達郵便物の処理」に、『郵便物の誤配達を受けた者は、その郵便物にその旨を表示して郵便差出箱に差し入れ、又はその旨を会社に通知しなければならない』と定められています。
ちなみに、誤配送された郵便物を隠し持っておくことは、刑法263条「信書隠匿罪」に抵触する恐れがありますので、すみやかに誤配達郵便物の処理を行いましょう。信書には、年賀状も含まれます。
また、あなた宛に届くはずの年賀状が届かなかった場合は、「不着申告」をして調べてもらうことができます。申告方法は、郵便局のウェブサイトから調査依頼をする、または直接郵便局の窓口で申請をします。郵便局は、配送経路を確認したり、近隣の住宅を訪問したりして調査を行います。
今回の記事は以上です。
もう年賀状を辞めるとう方法もありますが、完全に辞めるのは難しかったり、辞めてしまうのは寂しかったり、という想いもあるでしょう。だからこそ、いまの個人情報保護の時代に即した年賀状を考えてみましょう。
それでは皆さま、良い年末年始をお迎えください。
1980年代のパソコン黎明期よりコンピュータを愛し、90年代後半のインターネット普及とともにその想いは加速。音楽業界でウェブマガジン編集長を経歴し、現在フリーランスとしてライター、映像編集など多業界で活動中。コンピュータのウィルス感染に加え、実生活では空き巣にやられた経験も持つ。NO SECURITY, NO LIFE.