1. 不幸の始まりは軽はずみの行動から!?不正競争防止法について

ケーススタディ【vol.11】

2015.09.01

不幸の始まりは軽はずみの行動から!?不正競争防止法について

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ほんのひと昔前まで、情報収集はテレビ、新聞、雑誌などがメインでした。インターネットの急速な普及により、いつでもどこからでも自分に必要な情報を手に入れることができるようになり、私たちの日常生活はもちろん、企業活動にも大きな変化をもたらしました。

経営資源の3要素と呼ばれていた「人」「物」「金」に、「情報」を加えた4つの要素が経営資源として認識され、営業秘密として厳重に管理される時代へと変化し、企業の営業秘密である情報を悪用する事件も多く耳にするようになりました。

そこで今回は、営業秘密を守る法制度「不正競争防止法」について過去の判例を交えて紹介していきます。更に実際自分が当事者になったら・・・という例も合わせて紹介します。

不正競争防止法について

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営業秘密と言ってもそれは業種によって様々です。自社に関わる商品設計図や食品の製法を記載したもの、相手から預かった顧客情報等など。

代表的な不正競争防止法違反の例としては、
1)他人の商品を模倣して作ったり、売ったりする行為
2)商品の原産地等について誤認させるような表示
3)営業秘密を盗んだり、盗ませたり、悪用したりする行為

これは、市場における競争が公正に行われて、どの企業もフェアに活動ができるようにすることを目的として制定されたものとなります。つまり、自分の立場を優位にすることだけを考えてはいけないよ!ということです。

そして、不正をした企業は非常に重たい罰則を受けることになりますが、企業だけにとどまらず、不正を実行した本人も罰則の対象となるのです!
しかも実行犯に対する罰則は、企業に対する罰則ほどではないですが、法改正後、かなり厳しくなりました。“これぐらいならバレないだろう”と思って行動したことが自分の人生を狂わすことになり兼ねないのです・・・。

過去にあったこんな判例

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大手総合電機メーカーの提携している半導体メーカーの元技術者が、提携工場でフラッシュメモリーの研究データをコピーし転職先の韓国企業へリークしました。転職先も国外であり、軽い気持ちでおこなったことがこのような大事件に繋がりました。その結果、転職先の韓国企業は電機メーカーに対して330億円の支払を、実行犯に対しては懲役5年、罰金300万円の判決を言い渡しました。

また、記憶に新しい大手通信教育会社の顧客情報流失事件では、顧客への謝罪として約200億円、セキュリティー対策として約260億円の損害がでました。実行犯に対しての判決はまだですが、初犯にもかかわらず執行猶予なしの実刑判決になるのではないかと言われています。

いずれの事件も自分の立場をより優位なものにするために企業の秘密情報を持ち出し利用しようとしています。冒頭でも書きましたが、「情報」は企業の重要な営業秘密と認識されその重要な秘密を不正に利用した際には、本人が思っている以上の罰則が言い渡される可能性があるということを肝に銘じておきましょう・・・。

実際に自分が不正を犯してしまったら・・・

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過去の判例からも分かるように、不正競争防止法違反は企業にも個人にも厳しい罰則があります。しかしこれは自分の身にふりかかるごく一部のこと・・・。
筆者の戒めも含めて、実際に生活に及ぶ影響はどのぐらいあるのか?筆者をモデルケースに考えてみました。

まずはスペックです。
年齢:31歳
性別:男
職業:会社員(ソフトウェアメーカー)
家族構成:妻、娘、息子の4人家族

逮捕されて、そのまま留置所に勾留されて、釈放されて家に帰れば離婚届けを突き付けられ、その翌日には家族は実家に帰り、一人部屋に残され冷や飯を食らう。更に検察に起訴され呼び名はマコトから被告人へ改名。更にさらに、会社からはクビを宣告され、毎日の出社は弁護士事務所に。
気分転換をしたいと外へ出れば、家電量販店に展示されているTVから自分の名前と顔。もう家から出たくないと家でネットサーフィンをすればYahoo!ニュースからは自分の名前と顔。

嫁からの「慰謝料覚悟しておきな!」の電話がゴングとなり離婚裁判突入。多額の慰謝料、子どもとの接触禁止の念書を書き無事(?)閉廷。
続くは営業秘密持ち出しによる不正競争防止法違反。判決は懲役5年の執行猶予3年。更生を誓いハローワークに行けど求人は少なく相手にされず。電気、水道、ガスも止まりもはや八方ふさがり・・・・・・・。

こんなことがもしかしたら起こるかもしれません・・・。

事件を起こしたことによる影響は、懲役や罰金だけではありません。マスコミによる報道、再就職先が見つからない、ローンが組めないなどの社会的な制裁があることも忘れてはいけません。

さいごに

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不正競争防止法の一部を改正する法律案が閣議決定され、営業秘密侵害行為に対する個人の罰金が1千万円から2千万円へ法人への罰金が3億円から5億円に引き上げられました。罰金が引き上げられたからという問題ではなく・・・もし自分の大事な日記が知らない間にネット上にUPされていたら?もし自分の書いた絵を真似されて勝手に売られていたら?

自分が嫌なことは相手にもしない!そんな気持ちでこの法案も守っていきましょう。

仕事もプライベートも自分ごと化!相手の立場に立ってみて物事を考えるようにしていきたいですね。


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hirasawaマコトNO MORE 情報漏えいプロジェクト 編集部員
広告代理店・制作プロダクションを経て、現在は広報業務を担当。
“バズる企画を!”をキャッチフレーズに「NO MORE 情報漏えいプロジェクト」の認知拡大を目指し奮闘中。馬のような顔つきと足の速さには定評アリ。
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