1. スマートフォンで犯罪被害に遭う小・中・高校生たち。その事例と、子どものインターネットリテラシーを高める方法

ケーススタディ【vol.38】

2017.08.10

スマートフォンで犯罪被害に遭う小・中・高校生たち。その事例と、子どものインターネットリテラシーを高める方法

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子どもがスマートフォンを利用して、児童売春などの犯罪被害に遭う件数が年々増加しています。

例えばLINEなどのコミュニティサイトで知り合った相手を18歳未満であることを知りながら、「洋服を買ってあげる」などと言葉巧みに誘い出し、ホテルでみだらな行為をしたり、裸の写真や動画を撮影したりするのです。

こうした被害を防ぐため、子育て中の親は、お子さんにインターネットについて、また個人情報が流出するとどんな危険があるのか、どんな時に騙されるのかなど教える必要があります。しかし、子どもに禁止事項を与えて行動規制をしても、欲求が抑えられなかったり、親に禁止されていない新たな危険が迫ったりする可能性もあります。

あなたはLINEやTwitterは知っていても、ぎゃるる、ひま部、友達作りTalkと言われてピンと来ますか?子どもたちの流行を全て把握して、それらをいちいち規制することはほぼ不可能なのです。

道路に飛び出したら自動車やバイクにはねられる危険があると理解するように、子どものインターネットリテラシーを高め、自らの意思で歯止めをかけられるようにもすべきです。

今回はその具体例を上げながら、親子で考えたい情報漏えいについてお伝えします。

 

YouTuberは小学生のスター!動画を勝手にアップしていませんか?

ある調査によると、小学生のなりたい職業ランキングに「YouTuber」がランクインしたそうです。それを後押しするかのように、小学生向けのYouTuber養成講座を開講する企業が現れたり、「YouTuberになりきって自由研究をやってみよう!」とガイドする本が発売されたり、その様子はますます盛り上がりを見せています。

当然小学生たちは、YouTubeで動画を見るだけでなく、いつかは自作動画をアップして自分もYouTuberになりたいと夢見ています。面白い実験やゲームの実況をして話題になれば、クラスの人気者になれるだけでなく、世界中の子ども達から認められる存在になれますからね。

とにかくYouTuberは、小学生のあいだではスターのような存在なのです。

さて、そんなYouTubeですが、YouTubeはアカウントさえあれば、いとも簡単に動画をアップすることができます。親に頼らなくても、子どもだけの力で動画が公開できてしまうのです。

そのとき、動画に顔出ししていたり、本名を声に出していたり、学校名が書かれた教科書などが写り込んでいたりすると、第三者に個人を特定されかねません。また、コメント欄も要注意です。お友達が悪意なく個人情報を書き込んでしまう恐れがあるからです。

悪い大人は、子どもがアップする動画のファンを装って近づいてくるかも知れないのです……。

13歳未満のYouTuber、実は利用規約違反

YouTubeに動画をアップするには、Googleアカウントを作る必要があります。実はGoogleアカウントの所有には年齢制限があります。日本の場合、13歳以上でないとアカウントを作ることができません。本来、小学生が自分自身でYouTubeにログインしたり、コメントを書き込んだり、動画をアップすることはできないのです。利用規約違反になります。

Google アカウントの年齢条件

https://support.google.com/accounts/answer/1350409?hl=ja

 

中高生はインターネットでお小遣い稼ぎ

中高生になると、多くの子ども達は自分専用のスマートフォンを所有するようになります。スマートフォンは、ゲームアプリに課金をしたり、買い物をしたりなど、お金を使うばかりではありません。スマートフォンを利用して、お小遣いを稼ぐ中高生が増えているのです。

具体的には、ポイントサイトに登録し、フリマアプリやオークションサイトで物を販売したりなどです。これらは、サービスそのものが悪いわけではありません。気をつけないといけないのは、その隙を突いて騙そうとする悪い人達です。

例えばポイントサイトは、アンケートに答える機会が多く、ひとつのアンケートに答えると数円〜数十円相当のポイントが貰える仕組みです。要はアンケートに答え慣れてしまう訳です。気軽に自分の情報を書くことに慣れることで、SNSでシェアされてきた怪しい診断サイトに個人情報を書き込んでしまったり、いま世界中で蔓延しているフィッシングサイトやランサムウェアにひっかかってしまったりしやすくなるのです。

また、フリマアプリやオークションサイトで物を販売する際も、相手から商品に傷が付いていたとか、偽物だったとか、言いがかりをつけられ脅迫されることもあります。商品発送時に、取引相手に住所や電話番号などの個人情報を伝えている場合が多いので、逃げづらくなります。

オイシイ話には裏がある

最近は「この投稿をシェアしてくれたら抽選でMacBookをプレゼントします」と言った、いかにも怪しげな投稿をTwitterなどで見かけることがあります。この真意はわかりませんが、もしかしたら全員に当選だと伝えて、発送先など個人情報を収集するのが目的かも知れません。もちろんMacBookは貰えません。

インターネットリテラシーが高い人は、ここで一歩踏みとどまることができるのですが、お小遣い稼ぎに夢中の中高生は、「これは最高!」と飛びついてしまう恐れがあります。

オイシイ話には裏がある。

昔から言われていることですが、インターネット上には甘いエサで釣る罠がたくさんありますので、こうした実態を子ども達と話し合うようにすると良いですね。

 

悪い大人は、子どもがミスを侵すのをジッと待っている

4年ほど前、コンビニのアイス用冷蔵庫に自分自身が入った写真をTwitterにアップし、炎上した騒ぎを覚えているでしょうか。

投稿した本人は、友達の間でウケを狙ったのかも知れません。しかしネット上に投稿するということは、大人達にも見られると言うことです。それが鍵付きの投稿であっても、クローズドなコミュニティであっても、いつ誰かがスクショをSNSで拡散させるとも限りません。

またここでも、悪い大人が登場します。

悪い大人は、子ども達のインターネットリテラシーが低いのを良いことに、アイス用冷蔵庫に入った事例のような『ネタ』を虎視眈々と狙っています。見つけ次第、その投稿が消されても良いように、スクショを撮ったり、画像・動画を保存したりするのです。

子どもが「あ、しまった!」と思っても、後の祭り。

炎上されるために、その『ネタ』をTwitter、YouTube、ブログなどにコピーして拡散させるのです。「酷すぎる小学生がいた!」などと煽って。炎上させる理由は、単に面白いからということもありますが、ブログやYouTubeにアップして広告費を稼ぐのが目的の場合もあります。

いつ子どもがミスを侵すか。それをジッと静かに探している悪い大人がいる、ということは知っておかないといけません。

 

子どもに教えるためには、親も日々勉強

スマートフォンは、子どもに買い与える際にルールを決めたり、注意を促したりするだけでは不十分です。冒頭でもお伝えしたように、インターネット内での流行が移り変わるからです。そのため親は、インターネットやスマートフォンの動向を日々意識するのが大切です。

また、日頃から親子でスマートフォンについて話し合える関係も築いておきましょう。親が子ども対して口やまかしく規制や注意ばかりしていると、ウザいと思われてしまいがちですが、親がしっかりと勉強をして、子どもが知らないことを教えてあげると興味を持って聞いてくれようになるでしょう。

インターネットやスマートフォンにまつわる犯罪に子どもが巻き込まれる事件は日々起きていますので、そうしたことを親子の話題にするもの良いですね。

インターネットリテラシーは一気には高められません。コツコツと知識を増やし、危険を察知する能力を養って行きましょう。

 

k_kitano北野 啓太郎(きたの・けいたろう) フリーライター
1980年代のパソコン黎明期よりコンピュータを愛し、90年代後半のインターネット普及とともにその想いは加速。音楽業界でウェブマガジン編集長を経歴し、現在フリーランスとしてライター、映像編集など多業界で活動中。コンピュータのウィルス感染に加え、実生活では空き巣にやられた経験も持つ。NO SECURITY, NO LIFE.
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