ありがとう情シスさん!7月最終週の金曜日は「システム管理者の日」
朝礼での一コマ
本日はシステム管理者の日。
日常の業務ではかかせない存在であるにも関わらず、日の目を見ないシステム管理者に感謝を伝える特別な日。
そんな特別な日に行われるMOTEXの朝礼は、社長よりシステム管理者への労いから始まった。
「ご存知の通り、本日はシステム管理者の日です。皆さんの業務が円滑に進むよう日々奮闘してもらっています。情シス部門の皆さん。いつも本当にありがとう。」
今でこそ、情シス部門に感謝の気持ちをもたない社員は一人もいないがここまで来るには様々なドラマがあった。
MOTEX 情報システム部門
他部署からかかってくる毎日の電話。トラブル対応で昼食をとれないことも多い。
先ほどの営業部門のPCトラブルがやっと落ち着き、一息入れようとコーヒーを一口飲もうと思っていた矢先のことだった。
―プルル♪プルル♪ガチャ
小原「お疲れさまです。情シス小原です」
営業「ネットに繋がらないよ~」
小原「無線LANのスイッチはONになってますか・・・?」
営業「あっ!OFFになってた・・・直った直った♪」
小原「良かったです・・・。ちゃんと確認してくれると助かります・・・」
―プルル♪プルル♪ガチャ
小原「お疲れさまです。情シス小原です」
営業「パソコンの電源入らないんだけどー」
小原「モニターの側面にありませんか・・・?」(他にやりたいこと沢山あるんだけどな・・・・)
営業「ちょっと急いでるんだけどなー・・・。なるべく早めにお願い!」ガチャ
・・・
板垣(情シス部長)「営業さんからの電話が鳴りやまないね・・・」
長谷川(情シス課長)「さっきからすごい勢いでかかってきてますね・・・」
板垣「小原さん必死に対応してくれているけど、ちょっと疲れてるね」
トラブルは仕方ない。しかし、情シスもトラブル対応だけが業務ではないのである。
朝一からで営業のトラブルにあたっていた小原もさすがに疲れていた。
突然の取材
先ほどの忙しい時間を何とか乗り切った。時刻は12:00。いつもはコンビニで済ませてしまうランチだが気分転換がてら外でのランチ。時間も時間だけにランチ時で人が多く店を決めかねていた。
小原「あんまりお腹空いてないけどとりあえず食べておかないとなー」
キョロキョロ辺りを見渡しながら店を探していたその時、お店ではないところに人だかりができている様子を発見する。その時だった。マイクを持った男性が小走り近づいてきた。
TVリポーター「“アナタの不満爆発”というコーナーでインタビューしているのですが取材よろしいですか?」
小原「えっ!?」
TVレポーター「おーい!こっちこっち!」
レポーターは、小原の回答を待たずにカメラと音声のスタッフを呼んだ。
小原「・・・・」
この取材が小原の悩みを解決するきっかけになるとは今は当然分からなかった。
小型カメラを担いだカメラマンに合図を出し取材は直ぐにスタートした。
TVリポーター「本日お二人目の方です!日頃の不満についてお聞かせください!」
午前中の営業とのやり取りで、不満は数えきれないほどあった。しかし、それを説明する体力も気力もないぐらい疲れていた。
小原「・・・・。」
TVリポーター「 仕事のことでも、プライベートのことでも構いませんよ!」
記者も気付いたのだろう。相当疲れていると。
TVリポーター「 なんだか相当疲れている様子ですね・・・。」
小原「そうですね・・・。なかなか難しいですね・・・」
濁した回答でレポーターもこれ以上は踏み込めないと判断したのだろう。その場をうまくまとめた。
TVリポーター「とりあえず、美味しいご飯でも食べて元気だしてくださいね!」
この様子を営業は見ていた。
大阪本社
各事業所はお昼時ということもあり、社内でTVを見ながら休憩しているスタッフも多くいた。一人の営業がカップラーメンを食べながら、ふとTV画面に目を移した時の出来事だった。
TVリポーター「本日お二人目の方です! 日頃の不満についてお聞かせください!」
情シスの小原が街頭インタビューをされているところだった。
営業A「おいおい!小原さんがTVにでてるぞー!!!!!」
しかし、なんだか元気がない。表情が暗く、受け答えもあまりできていない。
営業A「いつも元気な小原さんだけど、なんだか様子がおかしいな・・・」
異変を感じた営業Aは、営業Bに話しをした。
営業A「後で小原さんに一声かけてもらえますかね?」
営業B「そうだね。ちょっと後で行ってみるよ。」
営業Bは、小原の帰社を待って声をかけることにした。
大阪本社10階テラスにて
ランチを済ませた小原は、大阪本社の10階テラスに戻った。
長谷川「あっ、小原さん!外で食べたの~?」
小原「気分転換で美味しいランチを食べようと思ったのですが、牛丼で済ませちゃいました・・・」
長谷川「一人で行ったの?!私は恥ずかしくていけないわ~」
板垣「ランチ行くときは声かけてくれればいいのに。一人で行っちゃうなんて寂しいじゃないか」
浮かない顔をしている小原に対して板垣は気を遣ったのだろう。優しく声をかけていた。しかし、小原の様子は依然として浮かないままだった。
―プルル♪プルル♪
突然携帯電話が鳴った。
小原「お疲れさまです。情シス小原です」
営業B「あっ、小原さん!!今どこにいるんですか?」
小原「10階のテラスだよ」
営業B「後でテラス行きますね!そういえば、TV観ましたよ!日頃の不満言っちゃえば良かったじゃないですか~」
小原「・・・・うん」
この後、数回会話を交わしたが、小原は相槌しか打たなかった。小原の様子が気になって仕方なかったため、すぐに営業Bはテラスに向かうことにした。
しばらくしてから営業Bが小原のいるテラスにやってきた。
営業B「小原さ~ん!!!!」
急いで階段を駆け上ってきたのだろう。呼吸も整っていない状態で小原の名前を呼んだ。小原は声の聞こえた方向に顔を向けるだけで特に返事もしなかった。営業Bは気にせず話しを続けた。
営業B「TVデビューなんてすごいじゃないですか!こういう時のためにいつもお洒落な恰好しているんですか!!!」
雰囲気を変えようとわざと明るく話してみたが、今の小原にはあまり響かなかった。やはり朝の一件を引きずっているのだろう。
小原「普通だよ・・・。ここに来たってことは何かトラブルとかあったのかな?」
営業B「いや・・・・。特に用はないんですが・・・」
小原を心配して来たとはやや言いにくい。しかし元気のない小原の様子は気になる。
板垣「そんなに汗をかくほど急いで来たってことは何か急ぎの用事じゃないの?」
長谷川「何か言いたいことあるとか?もしかして告白?!」
告白ならば夜にした方がいいだろうと思いつつ、営業Bは思い切って小原に元気のない理由を聞くことにした。
情シスの本音
営業B「あのー・・・・。普段と様子が違うように見えるんですが・・・。」
小原「いつもと同じだよ・・・」
誰が見てもそうは見えない。
営業B「TVに映ってた時も明らかに元気のない様子でしたし・・・正直心配です・・・」
その様子を見ていた板垣・長谷川が続ける。
板垣「僕も思ってたよ。いつもと違うなって。何か悩みがあったら相談してよ。」
長谷川「小原さんらしくないよ。私も心配・・・」
その言葉に我慢したものが溢れ出たのだろうか。小原は肩を震わせながら涙を流していた。
営業B「どうしたんですか?!何かあったんですか?!」
板垣「何か辛いことでもあったのかい?」
長谷川「小原さん!?大丈夫?」
突然の涙に3人は焦った。
営業B「すみませんでした!!!!!!」
突然の謝罪に一同は驚いた。営業Bは続ける。
営業B「小原さん、僕たちの態度について怒ってるんですよね?なんとなく気付いてましたよ・・・。自分都合で電話して業務の邪魔をしてしまっていることに・・・。」
小原「怒っているわけではないです・・・。営業さんが忙しいのはもちろん理解しているし、トラブルがあったら対応するのがお仕事だし。邪魔されてるなんて思ってないです・・・」
涙を拭きながら小原は続ける。
小原「情シスは、皆が気持ちよく業務ができるように社内システムの見直しや調整など、多くのことをしていく必要があるんです。だからと言って、何かトラブルがあった時には遠慮せずすぐに連絡をしてほしいと思ってます。」
営業「忙しいということは分かってるんです。だけどつい頼ってしまって・・・。」
小原「頼られることは嬉しいですよ。だけど・・・」
板垣が小原の言葉を遮るように話し始めた。
板垣「ありがとうの言葉をかけてくれるだけでだいぶ違うよね?ねっ、小原さん。」
小原「はい・・・。ただそれだけでも嬉しいですし、また頑張ろうって思います」
長谷川「それ私もそう思います。本当にそれだけで元気出るし・・・」
忙しい時に冷静になるのは難しいかもしれない。しかし、最後に一言付け加えるだけでお互い気持ち良く仕事ができる。簡単だけど難しいこと。営業は何かを感じた様子だった。
営業B「感謝の言葉・・・。全然言ってませんでしたね・・・。」
部署が違うだけで互いの業務内容を全て把握するのは非常に難しいかもしれない。ましてや自分が忙しい時は周りの状況は見えなくなるものである。
板垣「情シスの業務内容を理解してくれなんて思ってないんだよ。忙しいのは皆一緒だし、自分のことで手一杯なのはわかるからね。だけど、相手の忙しさが見えないからこそ、感謝と労いの気持ちをもって仲間に接する必要があると思うんだよね。もちろんこれは自分への戒めも含めて言っているんだけどね」
そこへ長谷川が加えた。
長谷川「“ありがとう”ってたった5文字だよ。1秒も必要ないぐらい。挨拶と同じように言えたら最高だよね!」
営業B「見えないからこそ感謝と労いか・・・。すごく響きました」
情シスは、決して華やかな世界でないのかもしれない。しかし、情シスがいないと会社として成り立たないといっても大げさではないだろう。
営業Bは3人を順番に見ながら、最後は小原を見てこう言った。
営業B「小原さん。そして情シスの皆さん、いつも本当にありがとうございます」
この一部始終を社長はひっそりと見ていた。
朝礼での一コマ
情シスメンバーに感謝状が贈られた。代表でそれを板垣が受け取った。
「どんな仕事も重要なのはコミュニケーションだと思っている。自分一人で仕事をこなすのは非常に難しいし、仮に一人でできたとしてもそれは仕事ではなく単なる作業なのかもしれない。お互い気持ち良く仕事をするために守ることはただ一つ。感謝と労いの気持ちを持つことだ」
情シスとのトラブルが起こったのはちょうど1年前。社長の言葉に一同は皆大きくうなずいていた。
本日はシステム管理者の日。
システム管理者に感謝を伝える特別な日。
いつもありがとう、情シスさん。
——END ——
広告代理店・制作プロダクションを経て、現在は広報業務を担当。
“バズる企画を!”をキャッチフレーズに「NO MORE 情報漏えいプロジェクト」の認知拡大を目指し奮闘中。馬のような顔つきと足の速さには定評アリ。