家にひそむ情報漏えいのリスク!トラブルに巻き込まれない、かしこい部屋選びのポイントとは?
「情報漏えい」の被害に遭わないために、電子機器のセキュリティチェックに勤しんでいる方も多いのでは? しかし、情報は電子機器から漏れているだけではありません。わたしたちが日夜過ごしている “家” にだって、情報漏えいの危険は存在します。
今回は、いつも過ごしている家(部屋)から漏れる情報にはどのようなものがあるのか?それを防ぐためには、どういった基準で部屋選びをすべきなのかを一緒に考えてみましょう。
郵便受けから漏れる個人情報
まず、一番気をつけるべきは「郵便受け」です。特に、マンションなどのエントランスには「さあ、いくらでも持って行ってくださいよ」といわんばかりに、戸別に郵便受けが設置されています。郵便受けには、光熱費から電話料金の請求書、クレジットカードの明細書、個人事業主の方なら仕事の請求書や支払調書が届きます。まさに「個人情報の宝庫」といえるでしょう。
【被害事例】郵便局員がサインを偽造し、マイナンバー通知カードを郵便受けに入れる
「個人情報の宝庫」といえば、昨年から配布がはじまったマイナンバーはその最たるものです。
昨年、石川県珠洲市の珠洲郵便局に勤務する男性局員が、配達先が留守だったため、自ら受け取りサインを偽造し、通知カードを郵便受けに入れてしまった事例が起きています。もし、この時悪意をもった誰かが、郵便受けをこっそり開けていたら……と考えると、恐ろしいですよね。
参考:マイナンバー「配達率を上げたかった」郵便局員が受け取りサイン偽造 石川|産経WEST
【被害事例】郵便受けから合鍵を取り出し、窃盗をおこなう
もっと直接的な被害では、2015年9月から12月にかけて都内を中心に、郵便受けから合鍵を取り出してマンションに侵入し、窃盗を働いた男性が逮捕されました。個人情報の漏えいというよりは、完全なる泥棒のケースですが、「郵便受けは、いとも簡単に中の物が盗まれてしまう危険性がある」という、わかりやすい事例のひとつだと言えるでしょう。
ほかにも、実家から届いた手紙や荷物から、住所や名前が流出してしまえば、それを悪用した人物によって、振り込め詐欺や、迷惑なダイレクトメールを送りつけられてしまうなどの被害に遭ってしまうケースは、容易に想像できます。
参考:郵便受けから合鍵取り出してマンション侵入 窃盗容疑で男を逮捕|産経ニュース
トラブルを防ぐために
このような被害を未然に防ぐためにも、郵便物がはみ出してしまったり、手が入ってしまう隙間があるようなポストは避けたほうが無難です。そして、施錠をすることはもちろん、面倒くさがらずに毎日郵便受けをのぞき、中身を回収するなどして、情報流出を防ぎましょう。
ゴミから漏れる個人情報
家庭から出るゴミも、プロの目から見れば “情報の山” となり得ます。これは個人情報を悪用する輩のみならず、いわゆる、非常に趣味性の高い性癖をもっている方や、ストーカーにも情報を与えてしまう危険性があります。
【被害事例】ゴミをあさり、有名女優の生活事情を盗みだす
2014年には女優の沢尻エリカさんが、ファンの男性に自宅周辺をうろつかれ、ゴミを持ち帰られるなどのストーカー被害に遭っていると報じられました。
このストーカーは、週2回の可燃ゴミの日になると、必ず早朝にゴミを持ち帰って行ったそうですが、「おまえはゴミ収集車か」と突っ込みたくなるほどの律儀さが、逆に不気味さを増長しています。
「有名人だからストーカー被害に遭ったんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、警視庁が発表している「ストーカー事案の概況」によれば、平成26年のストーカー行為などに係る相談件数は2,204件、なんと前年(平成25年)に比べて738件と、50.3%の伸びをみせています。男性の方も安心できません。被害相談に訪れる方の14.7%は男性との報告がされています。
参考:沢尻エリカがストーカー被害に 自宅のゴミを漁られていた|NEWSポストセブン
トラブルを防ぐために
集合住宅にお住まいの場合は、管理人や自治体の方にゴミを開封され、分別しているか確認されてしまうこともあります。もちろん、ゴミの分別をしっかりするのは当たり前ですが、名前や電話番号、クレジットの明細など、生活スタイルがわかってしまうものを見られてしまうのは、よい気分ではありません。 かといって、生活をする以上、ゴミを出さないわけにもいきません。
個人情報が記載されたものはすべてシュレッダーにかければ、上述したような心配はなくなります。そして、お部屋選びの際には、ゴミ集積場が道路に面していない、またはマンション専用の集積場がある物件を選定しましょう。ゴミの持ち去りや、漁られたりするリスクを低減してくれるはずです。
生活音から漏れる個人情報
昔から、「壁に耳あり障子に目あり」と言いますが、上下階やお隣さんの部屋から出る生活音や話し声も情報漏えいに一役買っています。
かくいう私も、隣に住んでいる家族の情報が筒抜けです。度重なる奥さんと娘さんの親子喧嘩により、「どうやら娘さんの彼氏を奥さんは認めていないらしく、それが気に入らない娘さんは良くモノにあたっている」という、本当にどうでもよい情報が日々入ってきます。
マンショントラブルで多いのが「騒音問題」
隣の部屋(家)からよく音や声などが聞こえてくるということは、同じくらい相手にも聞こえていることに他なりません。自室だからと言って、商談や打ち合わせなど、仕事の電話を大声でしてしまうと、思わぬ情報漏えいが起こる事態も考えられます。
もちろん、郵便受けやゴミと違い、家の「中」のことですので、そこまで過敏になる必要はありませんが、マンショントラブルでとても多いのが、実はこの「騒音問題」なんです。
国土交通省が発表している「マンション総合調査(平成25年版)」によれば、トラブルの発生した状況は、居住者間のマナーが55.9%と最も多く、具体的内容は違法駐車に次いで、生活音が34.3%と、騒音問題での近隣トラブルが多いことがうかがえます。
トラブルを防ぐために
近隣トラブルを防ぐためにも、家の防音性が問われます。アパートとマンションを比べたときに、防音性ではマンションに軍配があがりますが、「マンションだから防音は大丈夫」というわけではありません。いくらRC造り(鉄筋コンクリート)だとしても、内見の際にはしっかりと壁を叩いて厚みを確かめてみるようにしましょう。
情報漏えいを防ぐ、理想的な部屋とは
要点をまとめると、情報漏えいを防ぐお部屋選びのポイントは以下のようになります。
・集合ポストは避ける、または施錠ができるタイプの物件を選ぶ
・ゴミの集積場が道路に面していない、または物件固有の施錠されている集積場がある物件を選ぶ
・防音性の高い物件を選ぶ
これだけで、情報漏えいのリスクを軽減することが可能でしょう。ちょうど、すべての要件を満たした良い物件を見つけたのでご紹介します。
(引用元:Secret Intelligence Service)
この頑健にして貴賓すら感じさせる出で立ち。何を隠そうこの物件は、英国の情報機関のひとつ、秘密情報部(Secret Intelligence Service通称:SIS)の本部。その古代メソポタミアのジッグラトにも似た外観は、「テムズ川のバビロン」と呼ばれ、世界最高峰の情報漏えい対策がしかれています。
ここに運ばれてくる郵便物や、ゴミをあさる不埒な輩を発見した5分後には、その輩自身がゴミと化すほど強固なセキュリティを誇っています。さらに要塞の如く、防音面でも完璧です。その壁の厚さたるや、2000年9月20日にリアルIRAが対戦車ロケット弾を打ち込んだにもかかわらず、ほぼ無傷だったという信頼と実績です。それゆえ、会話が外に漏れることはまずありません。
残念ながら、SIS本部に居住することはできませんが、部屋探しをする際には、SIS本部のセキュリティを基準にし、少しずつ妥協をしていけば、結果として “情報が漏れない” 物件に出会えるかもしれません。そして、その物件は、きっとあなたのプライベートを、まるでSIS本部のように守ってくれるはずです。
さいごに
自宅は、一日の疲れを癒やす大切な場所です。しかし、リラックスしすぎるあまり、気づかぬうちに個人情報が漏えいし、事件に巻き込まれるリスクも潜んでいます。
少しだけ気を使ってゴミ出しをすることはもちろん、お部屋選びの際には、立地や広さ、安さだけで選ぶのではなく、日常的な情報漏えいリスクにも気を配って物件を選定してみてはいかがでしょうか。
都内在住のグラフィックデザイナー、ライター。30代を迎え、個人情報よりある意味いろんなものの漏えいを防ぐのに必死な今日この頃。
主に映画・音楽からオカルト、SF、酒、苔、不動産投資コラムまで、幅広く、そして若干胡散臭く、日々文章とデザインをお届けしています。